アンケート調査編(8)利用者が感じた奨学金のあんなこと、こんなこと
学生時代に奨学金を利用した先輩たちは、現在どんな風に制度を見ているのでしょうか?
大学、短期大学、大学校、専門学校に進学した先輩たちに、奨学金を利用して感じたことや、こうすればよかったと思うことを聞いてみました。
【調査時期:2018年6月/対象:20代男女100人/ウェブ上のアンケート調査】
●奨学金について後悔したことがあるのは4割!
奨学金を利用した先輩たちにその満足度について質問してみたところ、5人中2人が「後悔したことがある」と答えました。
また利用した奨学金の種類別にその満足度を比較してみると、返済の必要がない給付型奨学金を利用した人の満足度は100%であったものの、
貸与型奨学金で利子がないものを利用した人では「後悔したことがある」と答えた人は41.7%。
さらに、貸与型奨学金で利子があるものを利用した人では「後悔したことがある」という回答は半数を超え、55.6%となりました。
このことから奨学金の返済にかかる負担が大きくなるほど、奨学金を利用したことに後悔を感じる人の割合も増えることが推測できます。
それでは、具体的にはどんな点に満足や後悔を感じたのでしょうか。
●多かった後悔の理由は「返済の負担」
奨学金を利用して満足したという人にその理由を尋ねたところ、
「経済的負担を先延ばしにして学業に専念できたこと」
「アルバイト代だけでは学費は稼げなかったので、奨学金の給付に助けられた」
「親の負担を少しでも減らすことができた」など、お金の負担や心配を減らして大学生活を送れたことに対しての満足の声が挙げられました。
また「返しやすい金額・給付型を選んだため、返済の負担がそれほど大きなものではなかった」など、給付型ならではのメリットもあるようです。
一方、奨学金を利用して後悔したことがある、と答えた人にその理由を尋ねたところ、
「返済の期間が長い」
「返済が難しくなった」
「毎月の支払いが続くこと」など、受給を終えてからの返済に苦しんだという声が多く挙げられました。
借りる前や受給中にはイメージしきれていなかった、長期に続く返済の負担が後悔の原因となっているようです。
また「自分であまり考えずに親の言うままに受給額などを決めてしまった」という意見もありました。奨学金は、基本的には借りた本人に返済の義務があるため、必要以上に多く借りればその分返済の額も高くなってしまい、将来の負担へとつながるのです。
●先輩たちが勧める後悔しないための奨学金利用術
では、どうすれば後悔せずに済むのでしょうか? 先輩たちに聞いた奨学金利用時に注意すべきポイントとしては、
「自分で計算して将来の返済を考えた上で、借りる金額を決める」
「あらかじめ返済スケジュールを確認しておく」
「必要最低限の額を借りる」
など借りる前に返済をイメージした上で、給付の種類や受給額を決めることが重要となるようです。そのほかにも、
「在学中でも利用をやめることができるので、途中でやめることを検討する」
「計画的に貯金をして、余裕がある時はまとめて返済する」
などのアドバイスが挙げられました。
日本学生支援機構が提供する「奨学金貸与・返還シミュレーション」では、「奨学金をいくら借りると、毎月いくらずつ返済していくことになるのか」「返済期間は何年かかるのか」など、奨学金を利用した場合のシミュレーションが具体的にできるので、返済のイメージもしやすくなります。(https://simulation.sas.jasso.go.jp/simulation/)
なるべく将来の負担を減らして効率よく奨学金を利用するためには、あらかじめ制度について詳しく調べておくことや、受給から返済までのスケジュール管理が重要となります。進学後、奨学金の利用を考えている人は先輩たちの声を参考に、具体的な利用のイメージを思い描いてみてください。