アンケート調査編(9)先輩たちの併願事情① 専願・併願ってなに?
大学・短大・専門学校を受験する際、第一志望校が決まった後の併願校選びに頭を悩ませて人もいるのではないでしょうか。日程や費用が許すのであれば何校でも受験したいところですが、費用がかさむ、受験校別の対策に時間を取られすぎるなど、あまり現実的ではありません。そこで本稿では専願・併願の仕組みについて紹介するほか、実際に受験を経験した先輩たちの併願制度の利用率について調べてみました。
【調査時期:2019年8月/対象:20代男女200人/ウェブ上のアンケート調査】
●専願・併願の仕組みを知ろう
「専願」とはある学校を第一志望とし、合格すればその学校へ必ず入学することを前提に受験することです。
学校によっては専願することで、加点などの優遇を受けられる場合があり、他の学校を受験できない分、その学校に合格しやすいよう配慮してもらえるメリットがあります。
対して「併願」では、仮に合格したとしても必ずしも入学しなければならないわけではありません。
第一志望より合格する可能性が高い学校を保険として受験したり、逆に自分の実力よりも高い学校にチャレンジするなど、様々な理由から、複数の学校や学部へ出願する方法です。専願・併願のどちらの方法をとるかは受験の種類によって決められている場合もあれば、学校によって決められている場合もあります。
例えばAO入試、推薦入試はどちらも専願での出願が基本です。しかし、私立大学の公募制推薦の中には、併願を認めている大学があります。その場合は併願を認めている大学同士でないと出願はできません。加えて一部の大学に限りますが、AO入試でも併願が可能な大学もあります。なお、AO入試、推薦入試で不合格だった場合には、一般入試での受験が可能なので、諦めずに対策を切り替えましょう。
一方、私立大学・短大の一般入試は、試験日が重ならない限り何校でも併願が可能です。全ての大学で入試日程が統一されているわけではないため、複数の学校や学部を受験できるのです。さらに大学によっては、一回の試験で複数の学部・学科の合否判定を受けられる場合もあります。しかしたくさん受験すれば、その分合格のチャンスは増えますが、試験ごとに受験料と対策のために費やす時間も増えてしまいます。また合格発表のスケジュールによっては、第一志望校の結果が出る前に、合格した併願校に入学金を納める必要も出てきます。
複数の学校へ出願する場合は、こういった点にも考慮したうえで受験計画をしっかりと練るようにしましょう。なお、受験会場が遠方になる場合には、受験料に加え交通費、宿泊費などの負担も視野に入れておきましょう。
それでは実際に受験を経験した先輩たちは、併願・専願のどちらで出願している人が多いのでしょうか。
●実際は併願している人がほとんど
アンケートでは約7割の人が「併願した」と回答しました。「併願しなかった」と答えた人の中には推薦入試やAO入試の人も含まれていることを考慮すれば、一般入試を選択した受験生の多くが併願受験をしていると考えられます。
併願をするメリットのひとつには、第一志望だけでなく複数の学校や学部に出願することで、進学できる可能性が高まり「もし第一志望校に落ちたら行くところがない…」という不安を和らげられることがあります。まずは一校以上に合格することで、第一志望の試験にも余裕を持って臨むことができるでしょう。また、入試会場の独特の雰囲気や、入試そのものに慣れることができるのもありがたい点です。
●こんな併願も可能? 大学と専門学校を併願
受験生の中には、専門学校と大学を併願したい、と考えている人もいるのではないでしょうか?しかし、専門学校は合格発表が早い分、入学金の支払いも早いため、大学に合格した時に無駄になってしまうのでは、と不安に思う人もいるでしょう。
この場合、併願の届出など専門学校によって決められた所定の手続きをとると、大学との併願を考慮してくれる学校が増えています。この手続きを取っていれば、専門学校の選考に合格したとしても、届出に記載されている大学・短大の合否が発表されるまでは、学籍を確保しておくことができます。もしも、大学入試の結果が思わしくなかった場合は、そのまま専門学校入学の手続きを取ることができます。一方、大学に合格し、専門学校への入学を辞退する場合には、先に納めていた学納金の入学金相当や併願料を除いた金額が返還される、全額が返還されるなど、学校によってさまざまな方法がとられます。
●まとめ
受験生にとってありがたい制度でもある専願・併願。受験する学校の候補が決まった段階で、試験日をチェックしておくことが大事ですね。第一志望校と併願校、併願校同士の試験日が重なる場合には、異なる入試方式で別の日に受験できるかなども確認しておきましょう。また学校によって様々な受験方法が設定されているため、どのような出願方法があるのかもしっかりとチェックすることが大切です。