マネー&ライフ編(10)お得な制度がたくさん! 受験費用の節約術
受験する学校が決定したら、一度は受験にかかる費用の試算をしてみましょう。今回は仮受験プラン費用のシミュレーションや、受験費用の節約方法についてご紹介します。
●一般入試の受験費用シミュレーション
現住所を岡山市内とした場合の、①センター試験、②地元国立大学、③地元私立大学、④県外私立大学(関西)、⑤県外私立大学(関東)を受験する場合の平均的な費用をシミュレーションしてみます。
①センター試験受験費用
出願書類一式を含む「受験案内」は無料です。
検定料は
3教科以上で18,000円
2教科以下で12,000円が必要です。
成績通知書の送付を希望する場合は手数料として、プラス800円が必要となります。
現在センター試験は、国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語と6の「教科」で構成されており、さらにこの中から30の「科目」に分かれています。その中から志望校が指定するものを選びます。
国公立大学を受験する場合は、センター試験の受験が必須です。なぜなら、すべての国公立大学がこのセンター試験と個別学力検査(二次試験)で合否を決めるからです。その際に課される教科数は、5教科以上という学校が8割を超えます。また、私立大学しか受験をしない人にも、センター試験は関係しています。私立大学でもセンター試験の結果を利用して合否判断をする入試形式を採用している学校が8割以上あるためです。例年9月下旬~10月上旬にある出願期間までに教科・科目を選択することになるので、早めに調べて決定しておきましょう。
②地元国立大学の受験費用
国立大学の場合、願書の請求は基本的に無料です。
センター試験の検定料が5教科と仮定して
18,000円+二次試験受験料約17,000円=合計約35,000円が必要です。
※交通費は受験会場が徒歩または自転車等での移動可能範囲内と想定し、0円としています。
③地元私立大学の受験費用
私立大学一般入試の場合は、
願書代1,000円+受験料約35,000円=合計約36,000円が必要です。
なお、センター試験を利用して受験する場合は、
願書代1,000円+センター試験検定料約18,000円=合計約19,000円となります。
※交通費は受験会場が徒歩または自転車等での移動可能範囲内と想定し、0円としています。
④県外(関西圏)の私立大学の受験費用
願書代1,000円+受験料約35,000円+交通費約10,000円=合計約46,000円となります。ただし、前日から現地に入る場合には宿泊費約8,000円(1泊)、食費約5,000円も追加となり、合計は約59,000円となります。
⑤県外(関東圏)の私立大学の受験費用
願書代1,000円+受験料約35,000円+交通費約27,000円(学割+往復割引利用)+宿泊費約8,000円(1泊)、食費約5,000円として、合計約76,000円となります。
今回のシミュレーションの結果では、①~⑤の受験費用が総額で約20万円必要になりました。このように受験関連の出費は大きいため、宿泊費は多少無理をしてでも節約したいと考える人がいるかもしれません。しかし、受験当日に大雪などで公共交通機関の遅れや渋滞などに巻き込まれ、気持ちが焦ってしまう場合や、最悪の場合、試験開始に間に合わなくなる可能性もあります。念には念を入れ、遠方での受験では宿泊費も出費に見込んでおきましょう。保護者も付き添う場合には、宿泊費・交通費は追加人数分必要になるうえ、カイロやマスク、のど飴などの雑費も想定しておきましょう。
●受験費用の節約方法
・WEB出願の利用
WEB出願とは名称は学校によってさまざまですが、インターネットから出願する方法のことです。近年、私立大学を中心に導入校が増えており、紙の願書を廃止した大学も多くなっています。このWEB出願の利用で、受験料が割引かれる場合があります。WEB出願は従来の方法に比べ、インターネットから出願が可能なので、願書の購入や取り寄せが不要です。締切りまでなら24時間いつでも登録ができ、フォームに入力するので手書きの手間が省けたり、自動でエラーチェックが行われるので入力漏れを防ぐことができたりと、メリットの多いシステムです。ただし、学校によってはその後、必要書類の郵送や、「受験票」などを印刷し受験当日に持参する必要があります。なお、受験料の支払いを期限までにしなければ申込みが取り消しとなってしまうので、注意しましょう。
・入学検定料割引制度の利用
「同じ学校内で複数の学部学科への併願」時や「一般入試とセンター試験利用入試を同時受験」、「センター試験利用入試」、「全学部統一入試」、「同一日程での学内併願」、「英語外部検定試験利用入試」など、さまざまなパターンの割引制度が設けられています。志望校の制度を確認し、自分に合うものがあれば利用しましょう。
・宿泊費・交通費の節約
志望校の所在地以外の地方で受験できる「地方試験制度」を利用すれば、宿泊費・交通費が節約できます。また、遠方での受験になったとしても、「試験日自由選択制」をうまく利用して、1度の受験旅行期間内で複数校を受験することができれば、交通費を節約できます。
そのほか、JRをはじめ各種交通機関の往復割引、学生割引、回数券、WEB割引に加え、航空会社の早割なども活用したいところ。宿泊施設でも受験生応援プランを出しているところがあり、試験会場までの送迎やモーニングコール、部屋内に勉強机の設置、電気スタンドや加湿器の無料貸出サービスなど、うれしいサービスが盛りだくさんです。試験会場までのアクセスの良さだけでなく、このようなサービスがある施設を選び、ゆとりを持って試験に臨めるようにしたいものです。ただし、条件の良い宿泊施設は1月後半に予約が殺到するそうです。さらにJRや航空機チケットと宿泊がセットになったプランは割引率も高いものがあるので、宿泊する日程が決まっている場合は、早めに予約をしておきましょう。
・入学金納付締切日を考慮したスケジューリング
受験のスケジュールを組むときに、試験日だけでなく合格発表日、入学手続き締切日も考慮しておくと出費を抑えられます。入学手続き締切日は第一志望校が先で、併願校が後になるのが理想的。難しい場合でも、「安心料」として納める入学金がなるべく少なく済むようにスケジュールを組みましょう。ただし、最近では入学を辞退した場合、納付金のうち一部の返還に応じるケースも見られます。私立大学の中にはあらかじめ届け出をしておけば、国公立大学後期日程の合格発表後まで入学手続きを待ってくれる大学も出てきています。受験予定の学校についてはしっかり調べ、分からないことがあれば問い合わせましょう。
受験に必要な費用を抑えるのに大事なことは「いつ、いくら必要なのか」を明確にすることです。願書提出日、受験日、合格発表日、入学手続き締め切り日など重要な日程を書いた表を作り、一目で把握できるようにしておくと良いでしょう。今回ご紹介した内容を踏まえ、しっかりと保護者の方と相談して、悔いのない受験にしてください。