マネー&ライフ編(11) 学びたい気持ちを経済的に支援! 2020年4月スタートの修学支援新制度とは
2020年4月から「高等教育の修学支援新制度」が始まりました。これは高等教育(大学・短期大学・高等専門学校・専門学校)で学びたい学生を、国が経済的に支援してくれるというものです。今回は、この新制度がどのようなものかご紹介します。
●修学支援新制度の概要
修学支援新制度では、「授業料・入学金の免除または減額(授業料等減免)」と、「給付型奨学金の支給」の2つの支援がセットになっています。
支援対象となる学校の種類は、4年制大学のほか、短期大学、高等専門学校(4年・5年)、専門学校です。2020年3月現在、全国の大学・短大の97%、高等専門学校の100%、専門学校の62%の約2,800校が対象となっています。岡山県でも約60校が対象なので、自分の志望校が対象となっているか、下記のサイトでチェックしてみましょう。
支援の対象となる大学・短大・高専・専門学校一覧
https://www.mext.go.jp/kyufu/support_tg.htm
●どんな人が対象になる?
今回設けられた修学支援新制度は、「大学無償化」や「高等教育無償化」とも言われていますが、教育に係る全ての学費が、全ての学生を対象に無償になるわけではありません。支援対象に認定されるには、家計(世帯収入や資産)、学業成績・学修意欲などの要件を満たす必要があります。
◇家計の経済状況に関する要件
世帯収入や資産の要件を満たしている必要があります。所得については「住民税非課税世帯」と「それに準ずる世帯」であることです。基準を満たす世帯収入は、家族構成により異なります。
なお、日本学生支援機構(JASSO)のホームページでは「進学したらどれくらいお金が必要になるか」「どの奨学金の対象になるか」「給付や貸与の額はどの程度になるか」等を簡単に調べることができます。
日本学生支援機構 進学資金シミュレーター
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/oyakudachi/shogakukin-simulator.html
◇学業成績・学修意欲に関する要件
学ぶ意欲がある学生であることも要件のひとつとなります。学ぶ意欲とは、具体的には下図の内容です。成績だけで判断せず、レポートなどでも学ぶ意欲を確認します。
その他にも高校等を卒業してから大学等に進学するまでの期間が2年を経過していないことなどの要件があります。なお、支援の対象と認定された学生は、基本的に在学中はずっと支援を受けることができます。しかし、この制度は「学びたい」という意思のある人のためのものですので、災害、傷病、そのほかやむを得ない事由がある場合を除き、以下に該当する場合には支援が打ち切られる可能性があります。
・修業年限で卒業できないことが確定した場合
・修得単位数が標準の5割以下の場合
・出席率5割以下など学修意欲が著しく低いと大学等が判断した場合 など
場合によっては支援が打ち切られるだけでなく、返還などが必要になることもあるので注意しましょう。
支援措置の対象となる学生等の認定要件について
https://www.mext.go.jp/content/20200221-mxt_gakushi01-100001055_5.pdf
●具体的な支援額はどのくらい?
授業料・入学金減免の上限
支援の対象となると、大学などに納める授業料と入学金から以下の表に示された金額を上限として免除・減額されます。夜間部や通信課程の場合は上限額が異なります。なお、住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は、支援額が住民税非課税世帯の学生の2/3または1/3となります。
<授業料・入学金減免の上限額(年額)(昼間制)/住民税非課税世帯の学生の場合>
給付型奨学金の給付額
住民税非課税世帯の学生の場合、学生生活を送るための生活費として、日本学生支援機構(JASSO)から、毎月以下の金額が学生の口座に振り込まれます。支援額は世帯収入、国公立か私立か、自宅通学か自宅外通学か、などの条件で異なります。なお、住民税非課税世帯に準ずる世帯の支援額は世帯年収により、住民税非課税世帯の2/3または1/3となります。生活保護世帯で自宅から通学する人はカッコ内の金額となります。
<給付型奨学金額(月額)/住民税非課税世帯の学生の場合>
例えば、住民税非課税世帯の学生で、私立大学に自宅等から通う場合、入学金は約26万円、授業料は約70万円を上限に免除・減額が適用されます。併せて、月額38,300円の奨学金を受けることができます。
●支援を受ける場合に知っておきたいこと
ほかの貸付奨学金との併給が可能
新制度の支援を受ける場合、日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金を併給することもできます。この時、無利子奨学金(第一種奨学金)の貸与月額には上限が設けられていますが、有利子奨学金(第二種奨学金)は利用月額に制限はありません。ただし、有利子奨学金の場合、就職した際に利子を含めた返済が毎月発生します。毎月の返済を考慮して利用金額を設定するようにしましょう。
さらに新制度では各大学等や自治体、民間団体による奨学金との併用についても制限はありません。しかし、各支援事業の実施主体が新制度との併用を制限しているケースはあり得るので、事前に確認するようにしましょう。
●申請~支援開始までのスケジュール
給付型奨学金は、進学する前年の4月下旬から申請が可能です。高校などを通じて、日本学生支援機構(JASSO)へ申し込みを行ってください。選考結果が通知されたら、進学先の大学等に入学金・授業料減免の申請を行います。なお、高校3年生で申請に間に合わなかった場合、進学後の4月に進学先の大学・専門学校等から申し込むこともできます。
具体的には以下のようなスケジュールで申請を行います。
まとめ
今回の新制度は「家計基準」「成績」や「学習意欲」を満たしていれば支援を受けられるものです。進学したいけどお金のことが心配な高校生のみなさん、まずは文部科学省や日本学生支援機構の奨学金WEBページなどを確認してみましょう。
<参考>
文部科学省 高等教育の修学支援新制度特設ページ
https://www.mext.go.jp/kyufu/student/koukou.html