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進学ことはじめ

進学準備編(3)今さら聞けない、入試方式の基礎知識(国公立大学編)

2018/05/28
進学準備編(3)今さら聞けない、入試方式の基礎知識(国公立大学編)

進学のための入試方式には様々なものがあります。受験する学校によって、その方式が違うこともあり、受験生は混乱しがちです。ここでは、2019年度の国公立大学の入試方式についてご紹介します。
(※一部 2019年 12月 23日追記)

●定番は、センター試験と二次試験を受ける方式

センター試験とは…

国公立大学を目指す人が、まず知っておかなければいけないのは、すべての国公立大で利用されている「大学入学者選抜大学入試センター試験」(以下、センター試験)です。センター試験は、毎年1月中旬の土日2日にわたって全国で一斉に行われる全問マークシート方式の試験です。国公立大学の一般入試では、センター試験と個別学力検査(以下、二次試験)の総合点で合否が判定されます。

各大学がセンター試験で課す教科・科目が大学・学部・学科に合わせて設定されているため、自分が志望する大学・学部・学科に合わせて、受験教科・科目を選択するようになります。国公立大学のほとんどは、受験科目5教科7科目以上を条件としています。推薦入試の場合は、センター試験が必要な大学と免除する大学で分かれますが、一般入試も受験することを想定して、センター対策をしておくと安心です。

出願は9月下旬から10月上旬におこないます。受験後は自己採点し、その結果をもとに最終的な受験校を決定、二次試験に臨む流れになります。

なお、2020年度からセンター試験が廃止となり、「大学入学共通テスト」(以降、「共通テスト」)が始まります。行われる時期や教科・科目はセンター試験と同様ですが、国語と数学で記述式問題を導入します。また英語では、英検やTOEFLなど「民間の資格・検定試験の併用」が用いられ、これまで評価していた「読む・聞く」に加え、「話す・書く」の4技能の評価に移行します。2018年4月時点で高校1年生の方から、この「共通テスト」を受験することになります。
20191217日、文部科学省が2020年度の大学入学共通テスト2021年1月実施)における国語と数学の記述式問題導入見送りを発表しました。

 

二次試験とは…

二次試験は、センター試験の受験を必須とする大学が独自で行う試験のことを指します。前期日程・中期日程・後期日程とありますが、前期に指定教科の学科試験、後期には総合問題や面接、小論文など、日程によって内容が変わる大学や、中期や後期の試験を行わない大学もあるので、あらかじめ調べておく必要があります。また、前期日程で合格した学校の入学手続きをすると自動的に中期・後期日程の受験資格を失うため、第一志望の学校は前期日程に出願するのが一般的です。

合否判定は…

合否は、センター試験と二次試験の合計で決まります。どちらの試験をどのくらい重視するかは、大学や学部によって異なります。あらかじめ、志望校の配点比率も調べておき、それに合わせた受験対策をしておくとよいでしょう。
 

●専願なら、推薦入試を受ける手も

厳しい出願資格

推薦入試は合格したら入学することが出願の条件となるため、必ず入学したいと思う大学なら、推薦入試を受験する方法もあります。出願条件は学校によって異なりますが、国公立大学の推薦入試は出願資格が「評定平均値4.0以上」など、厳しい傾向があります。とはいえ、高校生活の実績をアピールしたい人や何らかの実績がある人には向いている方式です。

推薦入試の種類

推薦入試には、大きく分けて「指定校制(指定校推薦)」と「公募制(公募推薦)」の2つがあり、どちらも学校長の推薦が必要です。「指定校制」は、大学が指定した高校の生徒のみが出願可能で、「公募制」は基準をクリアしている高校生なら学校を問わず出願できます。試験の内容は、口述試験を含んだ面接や小論文などが課されるのが一般的で、学校や学部によってセンター試験が必要なケースと必要でないケースがあります。

地域枠推薦入試とは…

なお、国公立大学の医学科では、将来地元で医師として働くことを条件に行われる「地域枠推薦入試」を実施している学校もあります。この方式で合格して入学した場合、在学中の学費・生活費相当の奨学金が貸与され、卒業後に指定病院で勤務すれば返還を免除されるというメリットもあります。
 

●意欲や学びたいこと、将来のビジョンが問われるAO入試

アドミッション・ポリシーがカギ

それぞれの大学は、求める学生像を表した「アドミッション・ポリシー」を持っています。この「アドミッション・ポリシー」と照らし合わせて、受験生の意欲や適性が学校の求める学生像と合致しているかを審査するのがAO入試です。受験生が提出した自己推薦書などをもとに面接を実施しますが、学生の人物像や将来のなりたい姿が浮かび上がるよう、プレゼンテーションなどを含めた時間をかけた選考が行われるのが特徴です。また出願資格に、「物理チャレンジ」などの全国コンテストで一定以上の成績を修めた者といった条件が加わっている場合もあります。

センター試験が必要なケースも

なお昨今、特に国公立大学のAO入試では、基礎学力の到達度を測るためにセンター試験を課すケースが増えています。この場合、センター試験の勉強とAO入試に特化した対策の両方が必要になるため、AO入試を受ける受験生は特に早い時期からの準備が肝心です。
 

●入試方式を探れば、志望校の教育内容も見えてくる

学校ごとの特色を見逃すな

各大学は、個別の教育方針を持っており、学部によっても必要とされるものは異なります。このため大学の入試方式は、各大学や各学部が学生に求めるものが反映されており、たとえば理数系知識が必要な学部では二次試験における理数系の試験の配点が高かったり、横断的な知識が必要とされる学部でセンター試験の配点が重視されたりといった工夫がなされています。

どんな入試をしているかを調べると、その大学がどんな方針で教育を行い、どんな学生を受け入れようとしているのかがわかるはず。自分に合った大学へ進学するためにも、気になる大学の入試方式は、しっかり調べて確認しておきましょう。