進学準備編(6)専門職大学って何?
2019年度より新しい大学制度として、「専門職大学」と「専門職短期大学」が誕生することになりました。新たな教育機関が創設されるのはじつに55年ぶりで、広く注目を集めています。これらと大学や専門学校との違いを理解することで、進学の新しい選択肢のひとつになるかもしれません。
●専門職大学ってどんなところ?
国が作る新・大学制度として注目を集めている「専門職大学」。これまでの大学は、幅広い教養を身に付けつつ、興味のある分野を深く研究する学問重視の教育が行われてきました。一方、専門学校では特定の職業に焦点を当て、実践を重視した教育が実施されています。
今回誕生することになった「専門職大学」は、制度自体は大学と同様の形式をとりますが、教育カリキュラムは専門学校と似ています。4年間の修業期間を通して、大学レベルの教養はもちろん、専門的な職業に特化した能力を身に付けることを目指します。現代社会で求められる高度な「実践力」と豊かな「創造性」、さらに広い視野でさまざまなケースに対応できる「柔軟性」を備えた人材の育成を目的としています。
具体的には、ファッション、ICT、デジタルコンテンツ、医療・福祉・介護など多彩な分野での開校が見込まれています。現在、設置認可申請中で2019年度に開校予定の専門職大学は、全国で13校。そのうち9校は医療系の学校となっています。
●豊富な実習カリキュラムですぐに使える技能が身に付く!
専門職大学の大きな特徴のひとつに、現場実習の機会が多いことが挙げられます。というのも、専門職大学のカリキュラムでは、卒業単位の3~4割が実習の科目として振り当てられることになっているのです。加えて、長期にわたる企業での実習が義務付けられているため、実際に現場での仕事を経験しながら知識や技術を身に付けることができます。
さらに、専門職大学では教員の4割以上を実務経験者が占める予定です。実務を熟知した教員から講義を受けられるので、専門的な知識の学習に加えて、実体験を踏まえたリアルな現場の様子を学ぶことができます。
このように、より実践現場に近い環境での学びを実現している専門職大学は、大学卒業後の働く姿をイメージしやすいというメリットがあります。
●卒業すると学位が取得できる
専門職大学では卒業時に「学士(専門職)」という学位を付与されるのも大きな特徴です。この学位は大学卒業時に与えられる「学士」と同等のものとなります。現場に即した技術を身に付けながら、大学卒としての資格も取得できる点では、今までには無い大学制度ということができます。
将来こんな仕事をしたいという明確な目標が決まっている人にとっては、実践教育が豊富に盛り込まれている専門職大学は、就きたい職業への近道になるかもしれません。具体的にやりたいことが決まっていない人にとっても、学校生活で身に付けた専門的な技術と柔軟性は、きっと卒業後の将来の役に立つはず。今後、あらゆる分野で一層の開学が増えると見込まれている、注目の専門職大学。ぜひ積極的に情報収集してみてください。