進学準備編(9)高校の選択科目はどう決める?
文系、理系のどちらを選択するかを決めたら、次に社会、理科の選択科目を決めましょう。
多くの人がこの時に選んだ科目で入試を受けるので、先を見据えた慎重な選択が求められます。
●選択科目はどう選ぶ?
行きたい学部や学校が決まっている場合には、その受験科目として採用されているものを選ぶといいでしょう。決まっていない場合は、自分が学びたい事や将来なりたい職業から逆算した科目を基準に選ぶと、やる気をもってその教科の勉強に取り組むことができます。
●社会の選択科目は何を選ぶ?
社会の科目は、地理歴史科の「世界史」、「日本史」、「地理」、公民科の「倫理」、「現代社会」、「政治・経済」の6科目から選びます。
どの科目を選択しても暗記は必須ですが、中でも世界史や日本史は特にその量が多いです。
一方、地理や現代社会、政治・経済などは比較的暗記量は少ないですが、受験できる学校の幅が狭まる可能性があるので、選択時には注意が必要です。
<国公立の大学を受験する場合>
基本的にはセンター試験において文系で2科目、理系で1科目を受験することになります。学校によっては二次試験でも必要となる場合があり、その際は論述形式での解答が求められることもあります。
<私立大学の一般入試の場合>
3教科での受験が基本となります。文系の学部では、英語、国語のほかに地歴・公民もしくは数学から残りの1科目を選択する場合が多いです。
世界史と日本史は、ほとんどの学校で受験科目として採用されているため、どちらかを選んでおけば安心です。理系の場合は、基本的にはセンター試験のみで必要となります。
また社会科目においては、文部科学省が2018年7月に以下の改定を公表しました。2022年度の新入生から順次実施される高校の次期学習指導要領の解説書によると、新設科目として公民科では「現代社会」の廃止に伴い「公共」が、地理歴史科では「地理総合」、「歴史総合」などが現行の科目に代わって設置され、これらは必須科目となる予定です(2018年12月現在)。
こういった動きは今後、受験科目にも影響が出てくることが考えられるので、自分が受験する年の受験要項をしっかりと確認するようにしましょう。
●理科の選択科目は何を選ぶ?
理科の科目は、「物理」、「化学」、「生物」、「地学」の4科目から選びます。このうち物理、化学、生物はほとんどの学校で受験科目として採用されていることもあり、選択者が多い科目です。
○ 物理は暗記量が少ないものの、公式を用いて解答を導き出すという数学的な要素が多いです。
○ 生物は理系科目の中でも暗記量が多いのが特徴です。
○ 化学は計算と暗記の割合が約半分です。
なお、地学はそもそも選択科目にない高校や、受験科目としても採用していない進学先が多いので、ほとんど扱われることがありません。
国公立の大学を受験する場合、基本的にはセンター試験において文系で1科目、理系で2科目を受験することになります。ただし基礎科目で受験する場合には、文系であっても2科目の選択が必須となります。文系の場合は理科科目の中でも、数学的な要素が少なく暗記量で勝負がしやすい生物で受験する生徒が多いです。
理系の場合は国公立大学の二次試験や、私立大学を受験する際にも理科科目を使う場合があります。特に物理や化学を受験科目として採用している学校が多いので、その2つを選択しておけば間違いないでしょう。また、医療系を志すのであれば生物、工学部志望であれば物理など、志望する学部に即した科目を選ぶと受験で使えるのはもちろん進学後の学びにおいても役立ちます。
●2020年度スタートの「大学入学共通テスト」で変わることは?
進学準備編③で述べたように、2019年度をもって「センター試験」は廃止され、2020年度から「大学入学共通テスト」(以降、「共通テスト」)が始まります。これに伴い、国語や数学、英語は試験内容の変更点が発表されています。
現時点では、理科・地歴公民においての大きな変更点はありませんが、
2024年度からは記述形式での出題が検討されています。
また「共通テスト」の目的が、知識・技能に加えて「思考力・判断力・表現力」を重視するものであることから、全教科において出題傾向には変化が見込まれています。理科や社会科目においても、問題文の長文化や、複数の資料を比較する問題の増加などが想定されるので、共通テストを受ける人は新しい形式の試験対策に力を入れるようにしましょう。