進学準備編(10)勉強以外の入試対策、何をしたらいいの?
入試には、各科目の学力試験を中心とする「一般入試」の他に、志望校の求める学生像(アドミッション・ポリシー)に沿った学生を、入学意欲などを中心に総合的に評価し選抜する「AO入試」、高校での学業成績や課外活動の実績を踏まえて評価する「推薦入試」などがあります。これらの入試では各科目の試験ではなく、志望理由書の提出や面接、小論文などによって入学の可否を判断します。また、一般入試でも面接や小論文が必要となる学校もあります。ここではそれぞれの対策ポイントをご紹介します。
●志望理由書ってどう書けばいいの?
志望理由書とは、志望校への志望理由や進学に対する意思をまとめた書類で、推薦入試やAO入試の際にほとんどの学校で提出が求められます。入試方法によって重視されるポイントが異なるので、自分が受験する入試に合わせた内容を書くことが必要です。
学校によって違いはありますが、AO入試では8月ごろから、推薦入試では10月ごろからが願書の提出時期の目安です。
一般入試よりも早くスタートするため、早めの準備を心がけましょう。なお、志望理由書は下書きをした時点で必ず担任や進路指導の先生にチェックしてもらい、アドバイスをもらいましょう。また、提出した志望理由書に沿って面接が行われるため、提出後も内容を確認できるようにコピーをとっておくことも重要です。
●どんな面接があるの? 面接では何をするの?
一言で「面接」と言っても、その形式はさまざま。たとえば、個人面接や集団面接では受験生に対して複数の面接官が、志望理由や高校時代の生活について質問するのが一般的です。
その他に、ディスカッション形式では、受験生同士での議論の様子を面接官がチェックします。それぞれの意見に加えて、グループ内での役回りなども見ています。さらに、教科の内容や時事問題について、口頭での説明が求められる口頭試問の形式もあります。
基本的な質問にスムーズに答えられるようにしておくことはもちろんですが、他校にはない取組みや求める学生像など、志望校の特徴を研究しておくことも重要です。さらに、回答の内容だけでなく、質問に対する受け答えの様子や表情、入退室、着席のマナー、身だしなみなども評価の対象となります。
印象をアップさせる話し方としては、まずゆっくり低いトーンでおなかから声を出します。そして相手の目を見ながら笑顔ではっきりと発声することを意識しましょう。また、正しい言葉遣いも大前提。普段、敬語を使うことが少ない人は、間違えやすい敬語のチェックや、日ごろ使っている「若者言葉」、「話し言葉」の癖などを練習時に指摘してもらいましょう。
質問には結論から答え、続いて具体例や理由を加えると聞き手が理解しやすく、主張にもまとまりが出ます。どんな質問にも落ち着いて、自分の言葉で簡潔に話せるよう練習を重ねましょう。
●小論文の攻略法は?
与えられた課題に対して自分の主張を論理的にまとめるのが小論文です。一般的には「課題文型」と「テーマ型」の2つの形式があり、課題文型の場合は与えられた文章の要約を求められることもあります。制限時間内に課題を理解し、論理的な主張にまとめるためには、実際に時間を測りながら書く練習を繰り返すことが重要です。
<小論文を書く際に注意すること>
① 設問の趣旨を読み取る
第一に、「文章を読み、その内容を説明する」のか「文章をもとに、自分の主張を論理的に述べる」のか、設問で何を求められているのかを理解します。また、いきなり文章を書き始めるのではなく、構成や材料集めなど各作業へ割り当てる時間配分を決めてから取り掛かることも重要です。
② 材料集め、骨組み・切り口を決める
設問を理解したら、設問内で前提となっている条件を確認します。こういった条件は資料の文章内に書かれていることが多いので、注意深く読み取りましょう。その上で、論文を展開していく切り口を考えます。この時に、自分の志望学部や興味のある分野の視点を盛り込むと、独創的な文章になります。
要約をする際は、文章を段落ごとに要約していくとまとめやすくなります。そのためには、各段落の主題となる文に線を引きながら読み進めるのが効果的です。それぞれの段落の内容や役割を理解して、端的にまとめていきましょう。なお、要約では具体例などは省くのが基本です。事実背景や筆者の主張、その根拠をもれなく、重複なく含めた上で簡潔にまとめましょう。
③ 文の構成を決める
小論文では、文の構成も重視されるポイントです。以下の構成を意識して書くと主張に説得力が出ます。なお、実際に書き始める前に各部分で述べたいことをメモしておくと、スムーズに書き進めることができます。
1.序論(全体の10~20%):問題を明らかにし、それに対して自分の主張の方向性を提示する
2.本論(全体の60~80%):具体的な理由や根拠を挙げて論証し、自分の主張を理論づける
3.結論(全体の10~20%):自分の主張を再度明確に提示し、まとめる
④ ルールを確認する
小論文で一番重要なのは、自分の主張を述べること。しかし実際に書いてみると端的に述べられていないという場合が多々あります。文章化する前に、自分の主張を箇条書きなどで整理しておきましょう。
その他、以下の点にも注意が必要です。
・文字数(大幅な過不足は減点対象)
・一文を長くしすぎない(60字以内が目安)
・語尾「~だ」「~である」の統一
・略字は避け、丁寧な字で書く
・接続詞をうまく活用する
制限時間内に書き上げることはもちろんですが、あらかじめ見直し時間も確保した時間配分にしておくと、提出前に注意点や誤字などを確認することができます。学校の先生などに協力してもらいながら、練習を重ね、自信をもって本番に臨みましょう。