進学準備編(13)受験生必見! やってはいけない勉強法、やるべき勉強法
受験生の皆さんは志望校を決め、受験科目の配点をふまえ受験当日までの年間勉強計画を立てたら、いよいよ本格的に「受験勉強」に取りかかると思います。誰しも限られた時間の中で効率良く勉強したいと思うでしょう。しかしながら、勉強してもなかなか結果が出ないことがあります。そのような人は、効率の悪い自己流の勉強法で進めているのかもしれません。そこで今回は成果が出にくい「やってはいけない勉強法」と、効果的な「やるべき勉強法」をまとめました。成績が伸び悩んでいる方は、これを機に自分の勉強法を振り返ってみましょう。
●やってはいけない勉強法、やるべき勉強法
<ポイント1>
×きれいなノート作りにこだわる
勉強とは基礎を暗記などで身につけたうえで、応用できるようになることが目標です。それなのに、きれいなノートを作ることばかりに時間をかけていては効率が良いとは言えません。また、教科書や参考書に引くアンダーラインも記憶の定着においてはあまり意味がありません。情報が端的に示されていないうえ、周りの余計な情報も入ってきてしまうからです。
○ノートまとめは最低限、暗記チェックに時間を使おう
ノートまとめとしては、授業や、模試を含むテストで分からなかったこと、覚えたいことをまとめる程度にしましょう。大事なポイントを整理し、解けなかった問題をまとめた自分だけの苦手問題集や、覚えたい用語の単語帳などを作って暗記ができているかチェックを繰り返すことに時間を割いた方が効果的です。最近ではオリジナル単語帳を作ることができる無料アプリもありますので、うまく活用して暗記に役立てましょう。
<ポイント2>
×ながら勉強
音楽を聴きながら、テレビを見ながらなどの「ながら勉強」はやめましょう。作業に関係がない音があることで、静かな環境の時よりも作業効率が悪化する「無関連音効果」と呼ばれる現象があります。これは、作業に向いていた意識が音の方にも分散してしまうことにより引き起こされるものです。特に大きな音や、意味のある音(歌詞のある音楽や、自分に関係する内容)はより作業効率を下げます。なお、言うまでもなくSNSをチェックしながらの勉強もNGです。
○最適な環境で勉強しよう
学校のテスト中がそうであるように、受験会場はとても静かです。静かな環境でも集中できるようにするには、日頃から慣れておくことが大切です。ただし、無音状態では逆に集中力が途切れやすいという研究結果もあり、生活音が聞こえる程度が勉強環境としては最適だそうです。
<ポイント3>
×繰り返さない暗記
人間は繰り返さないとほとんど記憶を保持できません。記憶に関する実験的研究の先駆者である心理学者のヘルマン・エビングハウスは、人間の記憶の保持時間を示した『エビングハウスの忘却曲線』を発表しました。これによれば、人間の記憶は初めて聞いた言葉や記号に関して、20分後に42%、1時間後に56%、1日で74%のことを忘れると言われています。記憶を定着させるには、暗記を繰り返すことが必要なのです。
○最適なタイミングで繰り返し暗記しよう
それでは、一度暗記した内容はいつ復習すると良いのでしょうか。カナダのウォータールー大学によると、学習した1日以内に10分間、1週間以内に5分間、1ヶ月以内に2~4分間、繰り返し復習を行えば、記憶の定着に効果的であるという研究結果が発表されました。復習のタイミングが難しいという人には、タイミングを教えてくれるアプリもあります。
なお、脳科学の専門家によると、暗記するときに2つ以上の動作を同時に行うと、記憶の定着に有効と言われています。目で見ながら、手で書き、声に出し、耳で聞くなどの動作を組み合わせて行うことで効果が高まります。自分に合った方法で、効率の良い暗記をしましょう。
<ポイント4>
×徹夜での勉強
勉強の計画の遅れを取り戻すためや、静かで集中できるからといって、徹夜で勉強することはやめましょう。先ほどの忘却曲線の話にもありましたが、暗記をして100%覚えておける時間は短いです。テスト直前にせっかく覚えても、復習の時間が取れずに忘れてしまっては、もったいないです。
また、深夜は誰にも邪魔をされず、サボってしまいやすい状況にあります。さらに、生活リズムが狂ってしまい、日中睡魔に襲われたり、免疫システムが弱まったりして体調を崩してしまうことも。これらの理由からも、あまりおすすめできません。
○約8時間の睡眠を目指そう
徹夜までいかなくとも、睡眠不足は思考力や集中力、記憶力を低下させます。オーストラリアの研究者らの報告では、起床から17時間(朝6時に起きた場合、夜11時)を超えると、飲酒でひどく酔った状態を指す「酩酊状態」にまでパフォーマンスが低下すると発表されています。諸説や個人差はありますが、8時間の睡眠を取れるように意識して、規則正しい生活をしましょう。
<ポイント5>
×1日中、1つの教科を勉強し続ける
集中して1つの科目を勉強すると、やったような気になります。しかし、漠然と同じ科目を勉強するのではなく、脳の疲れ具合によって科目を変えた方が効率的です。
○時間帯によって勉強する科目を変えよう
脳のメカニズムを意識した学習方法については、
「マネー&ライフ編(9)生活リズムと脳のメカニズムを意識して、効率的に勉強しよう!」で紹介しています。気になる人は、ぜひチェックしてみてくださいね。
成績が思うように伸びないと悩んだ時は今一度、自分の勉強法が間違っていないか振り返ってみることも必要です。そして模試などに臨んで自分の苦手を発見し、新たな課題を見つけて、受験本番までに習熟度を上げていきましょう。