進学準備編(16)2021年度大学入学者選抜における新型コロナウイルス感染症への配慮事項について解説
総合型・学校推薦型選抜が終わり、いよいよ多くの受験生が受験する共通テストや一般選抜が目前に迫っています。本格的な受験シーズンの到来を前に、この冬の入試は、新型コロナウイルス感染症の影響で例年と異なる点が多いため、確認すべきことや、注意事項についてご紹介します。
参考)文部科学省高等教育局 大学振興課大学入試室
「令和3年度大学入学者選抜実施要項(令和2年6月 19 日)に関するQ&A」
●2021年度 共通テストについて
2021年度の共通テストの例年と異なる点として、日程が2つ設けられ、第1日程と第2日程から日程選択が可能なことに加え、疾病等を理由に受験できなかった場合に備え、第2日程の「特例追試験」を実施すること、第2日程の会場数を例年の2会場から大幅に拡充し、47都道府県に設置することなどがあります。
これによって学業の遅れなどで不安を抱える受験生や高校側のニーズに応え、選択した日程で受験できなかった場合でも、受験機会を確保できるように配慮されています。
●試験場の新型コロナウイルス感染症対策と受験生への要請事項
今年度の大学入学者選抜実施について、国による協議や審議の結果を踏まえたガイドライン等の案が示されました。これらには、各試験場において新型コロナウイルスの感染拡大防止を図り、受験生が安心して受験できる会場を提供できるよう、体制を整えるための望ましい内容や方法が提示されています。
まず、試験場の衛生管理体制等の構築として、以下の3つの時点ごとに感染拡大防止のための措置をとることが示されています。
①試験前:試験室数や座席間の距離の確保や、アルコールの設置、備品の消毒、医師・看護師の配置など
②試験当日:換気の実施、発熱・咳等の症状のある受験生への対応など
③試験後:試験監督者等の健康観察、仮に感染者がいた場合、保健所等の行政機関への協力など
また、受験生に対する要請事項としては以下が示されています。
・医療機関の事前受診(発熱・咳等の症状がある受験生)
・体調不良の場合は、追試験等の受験を検討
・試験当日の各自検温、発熱・咳等の症状の申出、マスクの持参など
・「新しい生活様式」等の実施
知っておいてほしい事項としては以下などが挙げられています。
・新型コロナウイルスにかかっていると受験ができないこと
・試験当日は自主検温を行い、37.5度以上の熱がある場合は受験を取り止め、追試験の受験を検討すること
・37.5度までの熱はなくても発熱・咳等の症状のある者は、その旨を監督者等に申し出ること
・新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAのダウンロードが望ましいこと
参考)内閣官房 新型コロナウイルス感染症対策分科会「新型コロナウイルス感染症対策分科会(第11回)配布資料4」
●各大学等のコロナ対策と「もしもの時」の連絡先
新型コロナウイルス感染症対策に伴う試験期日及び試験実施上の配慮等の対応状況について、各大学等の講じた措置をウェブサイトなどで確認しておきましょう。
参考)文部科学省「新型コロナウイルス感染症対策に伴う試験期日及び試験実施上の配慮等の対応状況について(岡山県)」
万が一やむを得ない事由で追試験へ振替受験を申請する際、共通テストの場合は受験票に記載の「問合せ大学」へ電話連絡した上で、申請受付時間内に「受験票」と「事故又は事由が確認できる証明書等」などを提出して申請する必要があるため、「もしもの時」に慌てないよう、受験する学校についても調べておくと良いでしょう。
参考)大学入試センター「受験上の注意」
また、岡山県が出している資料に「新型コロナウイルス受診相談センター」として、保健所等の連絡先や所管の市町村などをまとめたものが示されていますので、新型コロナウイルス感染症について感染が疑われる症状がある場合には、早めに問合せをしましょう。
参考)岡山県「新型コロナウイルス感染症に関するお願い」
なお、新型コロナウイルスに限らず、学校保健安全法において出席停止が定められている感染症(インフルエンザ・はしか等)に感染し、試験日当日まで治癒していない、または出席停止期間を経過していない場合は受験が不可となります。感染のリスクを減らすためにも、インフルエンザ等の予防接種を受け、体調を整えるよう心がけましょう。
大学入試センターは上記「受験上の注意」に「健康観察記録」や「試験当日の所持品チェック欄」を掲載していますので、活用しましょう。
●受験当日はコロナ禍ならではの持参物にも注意
受験会場内では特別な理由がない限り、基本的にマスク着用が義務付けられます。マスクを着用していくのはもちろんのこと、予備のマスクも用意しておきましょう。また、試験会場は定期的に窓を開放しますので、寒さ対策として着脱のしやすい上着や、使い捨てカイロなどを用意して臨むと安心です。
さらに、例年と違い食堂が閉鎖され、自席での食事を要請される場合もあるため、昼食を持参すると良いでしょう。
まとめ
コロナ禍の受験にはこれまで以上に、感染症予防を心がけ、体調管理をすることが必要です。個人での予防対策を徹底することはもちろん、同居の家族にも協力してもらって受験シーズンを乗り切りましょう。