進学準備編(20)英検やTOEICの高スコアは大学入試で有利になる? 利用するメリットや受検におすすめの外部検定をチェック!
近年の大学入試では、英検やTOEIC、TOEFLといった「外部検定(外検)」を合否判定に加味する大学が増加しています。外部検定で好成績を修めていれば、大学入試の得点が加点されたり、満点とみなされたりするケースも。また、なかには外部検定を受けていなければ出願できない大学入試も存在します。今回は、そんな外部検定を使った大学入試の詳細と、高校生が受けておくべき外部検定を解説。しっかりと理解して、大学入試に活用しましょう。
●外部検定は大学受験で使用できる?
外部検定(外検)とは、民間機関や外部機関が行っている英検やTOEIC、TOEFLといった検定試験の総称です。最近では、その検定試験の成績を入試の合否判定で加味する「英語外部検定利用入試(外検入試)」を導入する大学が増えています。
英語外部検定利用入試には次の4つのパターンがあります。
・出願資格に設定
外部検定で一定の級やスコア(得点)を取得していることが出願要件になっているパターンです。求められる級やスコアは大学によって異なり、それを満たさなければ、そもそも入試に出願することができません。主に総合選抜や学校推薦の出願要件になっているケースが多いですが、一般選抜で導入している大学もあります。
・得点換算
外部検定で取得した成績が、共通テストや大学で個別に行われる英語の学力試験の点数に換算されるパターンです。主に一般選抜で導入している大学が多く、外部検定の成績が良ければ、英語の試験が満点とみなされ、英語の学力試験が免除となるケースもあります。英語の学力試験を必ず受けなければいけない大学では、外部検定を加味した得点と、個別の英語試験のみの得点のうち、高い方で合否判定されるのが一般的です。
・加点
共通テストや大学で個別に行われる英語の学力試験の点数に、外部検定の成績に応じた得点が加算されるパターンです。例えば、英検1級なら20点、準一級なら15点というように、成績ごとに定められた得点が単純に加算されます。
・合否判定で優遇
外部検定の成績を明確に得点化するのではなく、あくまで合否判定の参考として使うパターンです。主に学校選抜や総合選抜などで利用されるケースが多いようです。
●高校生におすすめの外部検定
数多く存在する外部検定のうち、高校生におすすめのものを3つ紹介します。
・英検
公益財団法人日本英語検定協会が実施している、日本で最も知名度が高い英語の検定試験。5級から1級まで全7つの級が設けられており、大学入試で求められるレベルは準2級以上、難関大学を目指す場合は準1級以上が必要です。また、3級以上は二日に分けて試験が行われます。
なお、2021年から通常の英検のほかに、どの級も一日で試験が行われる「英検S-CBT」も実施されています。
・TOEIC
TOEICはアメリカにあるEducational Testing Serviceが開発している、世界で最も知名度が高い英語のコミュニケーション能力テスト。世界160カ国で実施されており、ビジネス英語の習得にも役立つため、海外留学や就職活動などを目的に受験する人も多い試験です。難易度は、国内の機関が実施する試験より高い傾向があります。
大学入試に求められるスコアは一般的に470といわれていますが、大学によって400~1000と幅広いようです。
・GTEC
ベネッセコーポレーションが実施しているスコア型の英語4技能テスト。小学生、中高生、大学生・社会人向けの試験があり、大学入試で活用できるのは中高生向けのものです。この試験は、教員の監督によって学校で実施できることが最大のメリット。
出願基準は大学によって異なりますが、少なくとも960点以上は必要なケースが多いでしょう。
●一番おすすめの外部検定は英検!その理由を紹介
外部検定の種類は多く、それぞれにメリットがありますが、大学受験に最もおすすめなのは英検です。その理由を詳しく紹介します。
・受検できる回数が多い
外部検定の試験は、TOEICの場合は年10回、GTECは学校受験型で年3回など、チャンスが少ない傾向があります。その点、英検も従来型のペーパー試験は年3回と大差ありませんが、英検S-CBTは原則毎週土日に実施されています。受験形式はオンラインで、全国47都道府県に設けられたテストセンターで受験が可能。自分のペースに合わせて気軽に挑戦しやすいのが魅力です。
・学校の勉強内容と重複しているため、受験勉強の妨げにならない
英検の試験内容は、3級で中学卒業程度、準2級は高校中級程度、そして2級は高校卒業程度という風に、学校で習うレベルに合わせて設定されています。そのため、学校で勉強した内容と重複する部分が多く、外部検定のためだけに勉強を行う負担が減るのが魅力。日々勉強に追われる受験生でも対応しやすいでしょう。
・不合格になっても、CSEスコアを利用できるケースもある
外部検定の結果は、級などの合否、もしくはテストのスコア(点数)で返ってくるのが一般的。例えば、英検は前者、TOEICやGTECは後者に該当します。前者の場合、受験した級に「合格」しなければ意味がないと思う人もいるかもしれませんが、英検の場合はそうとも限りません。実は、英検は合否とともに「CSEスコア」というスコアも通知されるのです。このCSEスコアが出願要件を満たしていれば、例え不合格でも英語外部検定利用入試を受験できる大学もあります。
・他の外部検定に比べて、入試に活用する大学が一番多い
英検は日本人向けに作られた検定試験で、日本国内での知名度が高く、他の外部試験と比べると英語外部検定利用入試で採用している大学が多いです。旺文社の2022年の一般入試における外部検定採用率のデータによると、全国の大学で行われている外部検定利用入試の中で英検が採用されているのは97%であるのに対し、GTECの学校受験型は80%、TOEICは68%という結果に。高校生が取得するには最適といえるでしょう。
参考:旺文社 教育情報センター「外部検定利用入試 2022年は424大学!」
まとめ
英語外部検定利用入試を導入する大学は、年々増加しています。自分が受験できる大学や受験方法を増やすために、外部検定の受験を検討してみてはいかがでしょうか。初めて外部検定に挑戦する人は、まず英検の準2級・2級の取得を目指してみるのがおすすめですよ。