進学準備編(21)二次試験の過去問演習ってどのくらい重要なの? 秋からの演習方法について徹底解説!
志望校の過去問演習において、「効率的な演習方法が分からない」「過去問が多すぎて手をつけられない」と、モチベーションが上がらない人はいませんか?
実は、過去問演習は学力向上だけでなく、試験全体に対する方針を整えるためにも非常に重要です。そこで今回は、過去問演習の重要性を解説するとともに、活用法やスケジューリングの仕方、うまく解けなかった場合の対策を解説します。
●過去問演習に取り組むメリット
一般的な問題集や参考書などとは異なり、過去問には次のようなメリットがあります。
・学校ごとの試験の出題傾向をつかめる
二次試験で出される問題はもちろん毎年違いますが、過去問を解けばおおよその出題傾向を読み解くことが可能です。特に物理や数学については、大学ごとに出やすい分野が偏っているケースがあります。また、社会の場合は「問題の過半数を近現代が占める」「特定の時代の問題は出てこない」という傾向があることも。そうした特徴を知っておけば、特に出やすい分野を重点的に対策できるのです。
・受験当日の時間配分をシミュレーションできる
自宅で問題集を解く時と試験本番の大きな違いは、制限時間があることです。その限られた時間内でのペース配分を誤ると、「後半の時間が足りない」「焦って深く考えられなかった」などの失敗が起こり得ます。
対策として、実際の試験問題である過去問を使った演習はとても有効。実際の試験時間に合わせて過去問に取り組むことで、受験当日の時間配分をシミュレーションできます。
・自分の実力を確認できる
二次試験の問題は、どの大学も基本的には例年と似た難易度の可能性が高いです。そのため、過去問演習で自分の実力を測ることができます。
さらに、合格最低点を公開している大学については、大学入試の過去問題集である『大学入試シリーズ(通称:赤本)』にその点数が記載されているので、大まかな合否のボーダーラインを知ることも可能です。ただし、年によって試験の難易度は変わり、合格最低点も変動しますので、参考程度にしておきましょう。
●秋から実践できる! 過去問演習のやり方やスケジュールを紹介!
実際に過去問演習を行うにあたり、何年前までの過去問を何回くらい解けば良いのか悩む人も多いのではないでしょうか?そんな方のために、ここでは具体的な実践方法を紹介します。
●受験までにトータルで何年・何周分解くべき?
一般的に、過去問は3周解くのが理想とされるケースが多いです。「周」というのは、問題集を最初から最後まで解いた回数のこと。3周だと3回という意味です。
なぜ3周が良いとされているのかというと、1周目で課題を見つけ、間違えた部分の復習を終えた後、2周目と3周目で課題を解決できたかどうかの確認を繰り返すことで、内容を網羅できると考えられているからです。もちろん個人差はあるので、1周目で見つかった課題を2周目で解決できていれば、3周目を行う必要はないでしょう。
受験までの時間は限られているので、何年分の過去問を解くのかについては、志望度で調整するのがおすすめです。
・第一志望校:最低10年分を2周以上
第一志望校については、最低10年分はさかのぼって過去問を解いておくのが理想的です。ただし、法改正や世界情勢などの変化に影響される、政治経済・地理のような最新時事問題を取り扱っている科目は、5年分を目安にすると良いでしょう。
・併願校:5年分程度を2周以上
併願校については、第二・第三志望校は最低5年分を解いておきたいところです。第四志望校以降は、1~3年分解いておくと良いでしょう。
・1週間に1年分の過去問を解くのが理想
第一志望校だけでも「最低10年分を2周以上」と言われると、量が多すぎてどう進めれば良いのか分からないという人もいるかもしれません。もし、この秋から過去問演習に取り組むのであれば、1年分の過去問を1週間で解くのが理想的な頻度と言えます。
・具体的な1週間のスケジュール
【1日目:過去問演習】
過去問を解き、自分の解答を振り返って課題の洗い出しを行う日です。まとまった時間が必要になり、他の勉強時間が削られる可能性があるので、土日など比較的時間を取りやすい日に取り組むと進めやすいでしょう。
【2〜7日目:復習&課題克服】
残りの6日間は、誤答の見直しや知識事項の覚え直し、関連問題の演習などを行います。得点を上げるためにはこの作業が最も重要になるので、時間をかけてコツコツ進めましょう。
●過去問が全く解けない…。その理由と取り組むべきこととは?
早速過去問に取り組んでみても、思うように解けなかった人もいるのではないでしょうか。そんな時はどうして問題が解けなかったのかを分析し、対策を行うことが大切。ここでは代表的な原因と対処法を3つ紹介します。
・基礎固めが不十分
そもそも問題の基礎を理解しきれていない場合、さらに過去問を解いても根本的な解決にはならず、同じ分野で間違いを繰り返してしまう可能性が高いです。そのため、まずは間違えた問題を復習した上で、その分野自体を参考書や問題集で勉強し直すことが大切です。
・過去問を解き慣れていない
ケアレスミスが多かったり、時間内に問題を解ききれなかったりする人は、試験問題を解き慣れていないことが原因として考えられます。この場合はとにかく数をこなすことはもちろん、先述した通り自身の課題発見や復習を徹底し、克服していくことが大切。
公式や図を頭の中だけでなく問題用紙などに書き出したり、問題文に記載されている情報を自分なりに整理して出題の意図や傾向を掴んだりすると、スムーズかつケアレスミスなく問題を解くことができるでしょう。
・取り組むべき問題かどうか判断できていない
そもそも、過去問はすべて解けなくてもかまいません。というのも、試験では満点ではなく“合格点”を取れば問題ない上に、解き方が全く思い浮かばないような難易度の高い設問は、他の受験生の正解率も低いと思われるため、間違えても大きな問題ではないのです。そこを復習するより、基礎問題や基礎の組み合わせ問題は出題率が高く、正解者も多いので、そういった分野の復習や基礎固めに力を入れる方が合格点を取るためには効果的です。
●まとめ
過去問は、最初から解けなくても焦る必要はありません。正解率よりも、志望校の出題傾向を把握したり、自分の弱点を認識した上で克服に努めたり、自分の実力に合わせて時間配分を考えたりすることの方が重要です。今回ご紹介した方法やスケジュールを参考にして、限られた受験勉強の時間を有効活用してくださいね。